ゴッホ展

 

こんにちは。

日記はやめてゴッホ展の話とその周辺の話をしましょう。

なぜ日記をやめるかというと面倒だからです。

なぜゴッホ展の話なのかというと行ったからです。

なぜ周辺の話もするかというと話は横滑りしていくものだからです。

理由おわり。

 

 さてゴッホ展の話。

そして、ゴッホ展の話をするにはまず、その背景の話をしなくてはいけません。早速周辺の話ですね。あんまりそういうのは好きじゃないんですが、先日思ったより人は美術を知らないことを知った(ぼくも美術を勉強して初めて知ったので当然ですが)のでそういう話も多少はしましょうという感じになっています。他人より多くの知識がある(っぽい)分野に関してはそのような態度を皆でとることで全体の知識が深まると良いですね。そのようなわけで話をしましょう。

 

ゴッホの美術は一般に「ポスト印象派」に区分されています。ポスト印象派というのはかなり雑にいうと反印象派です。印象派はそれまでの古典的な描き方に反発して生まれた流れですが、その一方で共通している部分もありました。それは広い意味での写実主義的な考え方です。ルネサンス美術はいうまでもなく写実的な絵画の流れでした。

では印象派はどのように写実的なのか?彼等は個人の感覚世界(≒印象)を重要視しており、目に映るものをそのままに描いた結果としてあのような絵画になるというわけです。つまり世界は個人の眼差しを通してしか立ち現れないものとして捉えられていたわけですね。ここにおいてもそこにある世界/自然を描き出そうとする姿勢は変わらないものでした。事実、初期は猛反発を受けた印象派ですが、その技法は瞬く間にサロンの中にも浸透しました。それは根幹をなす理念の一致があってこそです。

対してポスト印象派はどうなのか。彼等は画面の中に人間の内面を織り込もうとしました。そのためのアプローチは様々ですが、ゴッホが選んだのは強い色彩だったようです。彼は弟テオに当てた手紙で「私は赤と緑とで、人間の恐ろしい情念を表現したい」と述べています。ようやくゴッホの話になってきました。

ゴッホが好んで描いたモチーフとしては日本的なものが挙げられますが、このような絵画の流れは日本趣味/ジャポニスムとして知られています。大別すると異国趣味的なものとして描いたホイッスラーなどの流れと、ドガなどに見られるより純粋に造形的なものとして取り入れたものがありますが、ゴッホはこのどちらかに完全に属しているというわけではなさそうです。これ以上掘り下げると「北斎ジャポニスム展」の感想になってしまうのでやめます。というか、もうこんな教科書的な説明は面倒臭くなったので展の感想を述べてもいいですか、いいですね。誰に許可を取っているんだ。

 

展の感想です。

まずは入ってすぐに自画像があるんですが、これはそんなに惹かれるものがなかった。さっさと次に行くと「花魁」があります。これが最高です。この絵は渓齋英泉の「雲龍打掛の花魁」という木版画を元にした作品で、よくわかりませんが左右反転している…なぜ…。この作品は元ネタと比べるとその異常な存在感に圧倒されます。やはりゴッホは狂人であることがわかりますね。ある種の禍々しささえ感じられるようです。

そのような印象の原因のひとつとして油彩画であることが挙げられるでしょう。浮世絵は木版画ですからいうまでもなく薄いものですが、(そのため陶器などの包み紙に使われ、そのおかげでジャポニスムが広まったという説も)その点、油彩画は違いますね、キャンバスや布に描かれ、その上ゴッホは厚塗りするタイプなのでその差はより開きます。すでに実際に質量として圧倒的に存在しているわけです。

そしてその色使い。見比べるとわかりますが、ゴッホの方がより鮮やかな色を用いています。というか原色すぎて目が痛い。よく見てみると元ネタの柄の再現をする気が全くないし、一体なんなんだというかんじですが。それがゴッホの視線を通して描き出される花魁像であるということなのでしょう。

この作品はぼくの雑解説より見てくれ、見ればわかる、とにかくパワーがあるんだ。そのような感じです。見ればわかるを採用してしまうとなんというか全てが無意味になってしまうので本当に困りものなんですが、ゴッホに関しては本当に見ればわかるというか、見ればわかるのです…見ればわかるからもう作品の話はしなくてもいいか…。絵画なんていうのは見ればわかるものと見なければわからないものと見てもわからないものしかありませんからね…。そうは言うものの言語化する努力を怠ってはならないと言う気持ちもあ理、それ以上にレベルが足りないので不可能という事実が…。愛が溢れてしまうタイプの展なら勝手に喋っているんですが、ゴッホはそうもいかないというか、そうでもないというか「アラ、いいですね〜」の枠を出ないので…。

以下「アラ、いいですね〜」となった作品の名前を載せておきます。

「ヴィゲラ運河にかかるグレーズ橋」

「麦畑」

「アルルの公園の入り口」

「アニエールの公園」

「ポプラ林の中の二人」

この辺りの作品で「アラ、いいですね〜」となった人はぼくと感性が近いです。残念でした。貴様の感性は−100点だ。

 

総合的には別に悪くないんですが、「北斎ジャポニスム展」とまとめて行った方が楽しいかもしれません。ゴッホゴッホ展と呼んでいますが正式名称は「Van Gogh&Japan ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」なので…。月刊ジャポニスムゴッホ特集号くらいの感覚で行くといいでしょう。がっつりゴッホだと思っていくとやや肩透かしを食う可能性があります。そのような感じの展でした。

最後に情報です。日本よ、これがゴッホ展だ。

gogh-japan.jp

1/8まで上野でやっているので関東住まいの皆さんは行きましょう。その他住まいのみなさんは各自やっていってください。

 

おわり。